歯の矯正に年齢制限はある?大人の矯正治療と費用・期間の目安

「矯正治療は子どものうちにやるもの」そんなイメージを持っていませんか?
確かに子どもの時期は骨の成長を利用できるため、矯正治療に適していると言われます。しかし、実際には大人になってから矯正を始める方も増えており、年齢による大きな制限はほとんどありません。
むしろ「見た目を整えたい」「噛みにくさを改善したい」「将来の歯の健康を守りたい」と考えて、大人になってから矯正を始める方が増加傾向にあります。
この記事では、大人の矯正治療が可能な理由やメリット・デメリット、治療方法や費用・期間の目安について分かりやすくまとめました。
矯正治療は子どもだけのものではない?
大人でも治療可能な理由
矯正治療は「歯と歯を支える骨の代謝」を利用して行うものです。歯は年齢に関係なく骨の中で少しずつ動かすことができるため、子どもに限らず成人でも矯正は可能です。
例えば、20代・30代だけでなく、40代・50代で治療を始める方も珍しくありません。中には60代で矯正をスタートし、しっかりと噛めるようになったというケースもあります。つまり「もう遅いのでは?」と諦める必要はなく、健康な歯と歯ぐきがあれば幅広い年齢層で対応できるのです。
年齢制限はほとんどない
「成長期にしかできない治療」も存在しますが、それは主にあごの骨の成長を利用した小児矯正(顎の拡大など)に限られます。成人矯正では基本的に年齢の上限はなく、多くの症例に対応できます。
ただし、以下の場合は注意が必要です。
・重度の歯周病がある
・虫歯や歯の欠損が未治療のまま残っている
・全身疾患の影響で治療に制約がある
このような場合は、まず口腔内や全身の健康状態を整えたうえでの矯正治療が検討されます。
大人の矯正のメリットとデメリット
大人の矯正のメリット
- 見た目の改善
歯並びが整うことで笑顔に自信が持て、第一印象も良くなります。
- 胃腸への負担軽減
歯並びやかみ合わせが良くなると、食事がしやすくなり胃腸への負担も軽減されます。
- 虫歯・歯周病の予防
歯磨きがしやすくなり、汚れが残りにくくなるため、口腔内のトラブルを防ぎやすくなります。
- 将来の歯の寿命を延ばす
かみ合わせのバランスが整うことで、特定の歯に過剰な負担がかかりにくくなり、結果として歯の寿命を延ばすことにつながります。
大人の矯正のデメリット
- 治療期間がやや長くなる傾向
骨の代謝が子どもよりゆるやかになるため、治療期間がやや長くなることがあります。
- 費用の負担
保険がきかない自費診療であるため、数十万円から百万円近くかかることもあります。
- 見た目や違和感
ワイヤー矯正の場合、装置が目立つことや、慣れるまでの違和感があります。
- 虫歯や歯周病リスク
装置の周囲に汚れがたまりやすく、セルフケアを丁寧に行う必要があります。
大人の矯正の治療法について
ワイヤー矯正(ブラケット矯正)
もっとも一般的な矯正方法です。歯にブラケットという装置をつけ、ワイヤーで力をかけて歯を少しずつ移動させます。
- メリット
幅広い症例に対応可能で、確実な治療効果が期待できる。
- デメリット
装置が目立ちやすい。食べ物の制限や歯磨きの難しさがある。
近年では「白いワイヤー」や「裏側矯正(舌側矯正)」など、見た目に配慮した方法もあります。
マウスピース矯正(インビザラインなど)
透明のマウスピース型装置を用いて段階的に歯を動かす治療です。
- メリット
装置が目立ちにくく、取り外し可能で衛生的。食事制限が少ない。
- デメリット
適応できる症例に限りがある。自己管理が必要で、装着時間を守らないと効果が出にくい。
部分矯正
前歯だけなど、気になる部分に限定して矯正を行う方法。
- メリット
費用や期間を抑えられる。
- デメリット
全体的なかみ合わせ改善は難しい。
治療期間と費用の目安
- 全顎矯正(ワイヤー/マウスピース)
◆期間:2〜3年程度
◆費用:70〜120万円程度
- 部分矯正
◆期間:半年〜1年程度
◆費用:20〜50万円程度
治療後は歯を安定させるために保定期間が必要です。リテーナー(保定装置)を1〜2年以上装着し、歯並びが後戻りしないようにします。
まとめ
矯正治療に年齢の上限はほとんどなく、健康な歯と歯ぐきがあれば大人になってからでも治療は可能です。見た目だけでなくかみ合わせや将来の歯の健康にも良い影響をもたらします。
費用や期間は決して安くも短くもありませんが、それを上回るメリットが期待できます。「もう遅いかも」と感じている方も、まずは歯科医院で相談してみることをおすすめします。
大人の矯正は「新しい笑顔」と「将来の健康」を同時に手に入れるための大切な一歩です。今後の人生をより快適に、そして自分らしく過ごすための投資と考えると、その価値はとても大きいでしょう。さらに矯正は、美容だけでなく健康維持にもつながる“未来への準備”。思い立った今こそ、行動を起こす絶好のタイミングです。


