歯を失ったらどうするか
こんにちは、歯科医師の松浦と申します。
今回は「歯を失ったらどうするか」ということについてお話したいと思います。
不幸にして何らかの理由で歯を失ってしまう場合もあるでしょう。
そのままにしておくと何が起こるのでしょうか?
単刀直入に言うと、移動してしまうのです。
歯は隣り合う相手、咬み合う相手がいてはじめてその場にとどまっています。動かない場合もありますが多くの場合は移動してしまいます。
歯が移動してしまうと噛み合わせのバランスが悪くなり、歯並びもまた悪くなりお掃除がしにくく虫歯や歯周病の原因となります。そしてさらに歯を失う要因となってしまいます。
よって歯を失った場合、原則補わなければならないということになります。
移動前と移動後
では失った歯を補うにはどのような方法があるのでしょうか?
基本的には以下の3通りがあり、おのおの特徴があります。
(歯の移植という手段もありますが、適応例が他と比べて少ないので今回は除外します。)
・インプラント
顎の骨に人工の歯根を入れ、その上に歯を作る方法。
・ブリッジ
無くなった歯の両隣の歯を削り、それを土台にして歯を作る方法
・入れ歯
歯にバネをかけ、人工の歯を固定する方法
その特徴は?
主な特徴の比較をしてみましょう。
○噛みやすさ
インプラント 天然の歯と同等
ブリッジ 天然の歯と同等
入れ歯 他の2つに比べれば劣り、慣れるまで違和感がある
○お掃除のしやすさ
インプラント 天然の歯と同等
ブリッジ 連結されているので掃除しにくい
入れ歯 取り外せるので掃除しやすい
○歯の削除量
インプラント 無し
ブリッジ 健康な歯でも大きく削る
入れ歯 入れ歯の安定のために少し削る
○他の歯への負担
インプラント 無し
ブリッジ 有り
入れ歯 有り
(インプラント以外は他の歯を使って無くなった歯を補うので負担は増えます。しっかりした歯を使用するのが原則ですので、すぐに使用した歯がダメになるわけではありません。)
○治療期間
インプラント 約4ヶ月〜
ブリッジ 約2週間〜
入れ歯 約1ヶ月〜
○費用
インプラント 約35万〜(保険がきかない)
ブリッジ 約2万円〜
入れ歯 約数千円〜
まとめると
インプラントは自分の歯のようにかみやすく他の歯に負担をかけない方法だが、時間や費用がかかる。
ブリッジはかみやすいが、他の歯に大きく負担がかかる上に歯を多く削る必要があり、掃除もしにくい。
入れ歯はかむという点では他に劣り、取り外し等わずらわしく感じることもあるが、歯の削除量はすくなく、掃除がしやすい。
ではどれを選べば良いでしょうか。
上記のまとめから、条件が許せばインプラント が優れています。他の歯を削らなくてすみ、また他の歯に負担をかけないという利点は大きいです。
ブリッジは歯をたくさん削らなくてならない点が大きな欠点です。特に今まで何も治療したことの無い歯を大きく削るケースはあまり望ましいものではありません。
部分入れ歯は他の二つと比べて、かむという点では劣ります。またブリッジもそうですがどうしても他の歯に負担がかかるのが良くない点ではあります。(しっかりした歯を使用するのが原則ですので、すぐに使用した歯がダメになるわけではありません。)
諸条件からすぐにインプラント が出来なくても後に入れてみたい気持ちがあれば、部分入れ歯を入れておくのも良いでしょう。ブリッジにしてしまうと後からインプラント にするにはブリッジを壊して外さねばならず、また削った歯も戻ってこないからです。
実際にどのような場合にどの手段が適しているかということは、その部分だけでなく口腔内の諸条件がかかわってくるので、実際にお口の中を実際に拝見して診査する必要があります。
お悩みの方はぜひ気軽にご相談ください。